真実の恋?VOL43アフターの誘惑実桜前篇

真が店に来て、一時間があっという間に過ぎた。

真と話していると、流れるように時間が過ぎてゆく。

黒服が延長確認に来たとき、真は珍しく人差し指を一本立ててくれた。

それを見て、心が弾んだ。

真は、これまで一度しか延長したことがない。

せこいとかではなく、延長するよりも、一回でも多く同伴してくれようと思っているのが、実桜には痛いほどよくわかっていた。

本当にせこいのだったら、同伴などはしない。

食事代もかかるし、同半料も取られる。三回も同伴すれば、余分に一回は店へ来れるというものだ。

真とは毎日メールしているが、やはり二週間も顔を見ないと寂しい気持ちになる。

実桜は、複雑な思いを持っている。

同伴するより一回でも多く店へ来てもらい、真に会いたいという気持ち。反面、真の優しさを受け取る幸せと、真の真心を踏みにじっては悪いという気持ちと、同伴ノルマの負担が減るという有難さ。

なにより、店外で会えるというのが嬉しくて、同伴を断らないでいる。その代わり、延長を進めないようにしている。

真は、これまで何度か延長してくれようとしたことがあったが、その度に、実桜はもっと話していたい気もちを抑え込んだ。

それだったら、また近いうちに遊びに来て

そう明るく言って、真を帰した。

一度の延長は、クリスマスイブの時だった。あの時は、もっと恋人気分を味わいたくて、真の延長の申し出を断れなかった。

前回に続いての延長となるが、実桜は、少しでも一緒に居たいという思いを抑えきれなかった。

真には悪いと思いながら、今日だけは甘えようと思った。

今、実桜が、心から気を許して甘えられるのは真だけだ。

いいの?

黒服が去ったあと、実桜は半ば感謝の気持ちと、半ば申し訳ないという気持ちで尋ねた。

新年だからね

真は笑顔で応えてくれた。それが、一層、実桜の心を弾ませた。

実桜はいつになく饒舌になった。

クリスマスや年収め、それに、正月明けに来た客のことなどを、真に向かって一生懸命に喋った。

真に会えなかった間にあった嫌なことを、すべて吐きだした。

まこちゃんと出会うまでは、毎日が辛かったけど、まこちゃんと出会ってからは、随分と楽になった

さきほど真に言った言葉は嘘ではないが、真実でもなかった。

せめて店へ来る客の半分くらい、真のような男性だったらいいのに。

ここ最近、実桜はずっとそう思っている。

真と食事をしているときは、たまに同伴ということも忘れて、デートをしている気分になる。これまで、そんな気持ちにさせてくれた客はいない。

真が希少なお人好しだということは、実桜は重承知している。それでも、他の男とは、あまりにも違い過ぎるのだ。

それがため、新しい客を獲得し、馴染の客とも同伴するのが、今では苦痛になってきている。

そんなわけで、今の実桜は、真のお蔭で仕事を頑張れているのも確かだが、真のお蔭で、これまでまだまともだと思っていた客まで、相手をするのがしんどくなっているのも事実だった。

この世界では、パワハラ、セクハラ、モラハラ、どんなこともまかり通る。

実際にはまかり通るわけはないのだが、店としては売上さえ上がれば良いので、多少のことなら女の子に我慢をさせている。

そんな客をうまくあしらえないのはスキルが足りないからだといって、キャストを叱咤する。事実、それで何人もの娘が辞めていった。

本当に、過酷な世界だ。

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